うごけ オマルト・ヴェンザー

暁闇のなか目覚めるとまず、革靴を磨きます。古した紅茶色のそれを履いて散歩に出るからです。道順はありません、歩く時間だけ決めて、街外れの丘で朝日の円形がテレビ塔を過ぎるのを見届けたら戻ることにしています。家に着いて、ポストから引き抜いた郵便の束に目を通しながら、食卓で少し念入りに挽いたコーヒーを一層念入りに味わいます。返信の必要な手紙はテイブルの角に纏めて置いて、洗い場にカップを浸し、眼鏡の螺子を調節して、工房に入ります。それから一日のうちで最も念入りに、作りかけだったりまだ手付かずだったりする欠片たちを目と手で眺めてから作ったものたちを、皆さんに見てもらいたいと思います。